リフレクティング・プロセスによる業務ミーティングへの示唆

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背景・目的

※この記事は過去に社内で共有したものの転載です。

家族療法の中の「リフレクティング・チーム」が、普段のチームミーティングにも示唆を与える内容だと感じたのでまとめておく。

この方法は「専門家チームが家族を観察して介入する」という常識を逆転し、「家族が専門家チームの対話を見ながら対話する」という方法が取られて注目を集めたらしい。

具体的には、以下のように「対話とその対話についての対話」が繰り返されるような方法である。

  1. 家族の対話
  2. それを観察する専門家チームの対話
  3. それを観察する家族の対話
  4. それを観察する…

これにより、対話の外部からの視点を参照(リフレクト)し、暗黙に前提にしてしまっていたコンテクストが浮かび上がり、「問題」とそのコンテクストの関係が見えてくる…と説明されている。

リフレクティング・プロセス以外や歴史については以下の記事を参照せよ。

臨床心理学に学ぶ不安に対処するミーティングのプラクティス

リフレクティング・チームの手順

手順0: 事前準備

リフレクティング・チーム形式の会話に入る以前の段階で、イシュー提供者、イシュー関係者に対して、この時間をどのように使いたいと思うか尋ねる。また、どこで、どのような形で話し合うのがよいかについても話し合う。この質問には、彼らがリフレクティング・チーム形式を望むかどうかという確認も(当然、その前提としてリフレクティング・チーム形式の会話についての説明も)含む。彼らがリフレクティング・チーム形式を望んだ場合には、リフレクティング・チーム形式での会話が始まる前に、チームのメンバーを含む全員が面接室で顔合わせをおこなう。その後、リフレクティング・チームは、ワンウェイ・ミラーの背後、あるいは、少し離れたところに着席して、会話がスタートする。

手順1: 面接システムのセッション

面接者は、リフレクティング・チームから独立した形でイシュー提供者、イシュー関係者と会話をおこない、その会話(面接システム)にリフレクティング・チームがワンウェイ・ミラーの背後、あるいは、少し離れたところから静かに耳を傾ける(この際、リフレクティング・チームのメンバーは、面接システムの会話に参加せず、目線を合わせることもしない。また、リフレクティング・チームのメンバーがお互いに話し合うこともしない)。

手順2: リフティング・チームからのアイデア提示の打診

面接システムにおけるイシュー提供者、イシュー関係者と面接者の会話が一段落した都合のよい時点で、リフレクティング・チームが話す準備があることが伝えられる(面接システムは、それを聞きたいかどうか、および、それをいつ聞くか決めることができる)。

手順3: リフレクティング・チームのセッション1

リフレクティング・チームが面接システムの会話を聞いている間に生じたアイデアについて会話し、面接システムは、そのやりとりに耳を傾ける。

手順4: 面接システムのセッション2

リフレクティング・チームによる会話を踏まえて、再び面接システムが会話し、リフレクティング・チームは、そのやりとりに耳を傾ける。

※以上のプロセスを1回〜数回反復する

手順5: 終了

最後は、必ず面接システムのセッションで終わり、面接システムとリフレクティング・チームの将来(今後のリフレクティングの機械の必要性など)について話し合う。

会話の作法

リフレクティング・チームに求められる会話の作法

  1. その場の会話内容にもとづいて反応や解釈をおこない、他の文脈からそれを持ち込まない。
  2. 断定的な話し方は避ける。
  3. 参加者について否定的なことをいわない。
  4. 面接システムとリフレクティング・チームが同室で話す場合、チームのメンバー同士で向き合って話す。

面接者に求められる会話の作法

  1. 話し合いへの参加の経緯についての質問
  2. 話し合いの活用についての質問
  3. 「何について話し合いたいですか」という質問

業務への応用可能性

①職種間の連携促進のためのプログラム

リフレクティング: 会話についての会話という方法』では、2つのチームを別職種で構成し、その連携促進のためのプログラムが紹介されている。

例えば企画職とエンジニアで共通の問題を抱えているが、共通の問題を対話によって整理するときに使えるかもしれない。

②リモートミーティング

リモートのミーティングでは、同時に何人もしゃべれなくて、どうしても会話する人が偏ってしまう印象がある。

少人数のサブチームに分けて、リフレクティング・チームの方法と同様に「前に会話したサブチームの会話を踏まえて会話する」といった方法が取れるかもしれない。

社内のスクラムサークルの企画時に「12人もいると議論できないよね」ってところから、次のような提案をしている。

各テーマごとに前半と後半に分けて、「最初は6人で会話していて誇りの人は聞くだけ」「次に残りの6人で前半の会話を踏まえつつ会話して最初の6人は聞くだけ」ってするのはどうでしょう?

せっかくいろいろな人が参加したのに、一部のメンバーの声しか聞けないのはもったいないと思うので

特にこの場では結論を出す必要はなく、ある程度広く声を聞ければいい(はず)なので向いている場だと思う。

③チームへの介入方法

あるチームの開発プロセスをチームの外部から改善しようとしたとき、よくある方法ではアジャイルコーチ(スクラムマスター)を派遣することがあると思う。

その際に「振り返り会(レトロスペクティブ)をリフレクティング・チームで行う」ことで、アジャイルコーチを助けられるかもしれない。

ただちょっと面倒かも。

参考文献

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Takeshi Ninomiya
Takeshi Ninomiya

Written by Takeshi Ninomiya

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